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年中行事の中の和菓子とその行事との歴史(第6回)

顧問 故 谷岡 美雄

◆11月
 玄猪は10月、しかし霜月玄猪、つまり11月も玄猪であり、今では茶道の炉開きが11月に行なわれ、それより部屋の煙草盆に代わり火鉢が入り、茶菓子に亥の子餅が使われるようになりました。
 東京では玄猪の餅が安産のお守りにすり代わってしまったようで、全国的に11月は亥の子餅になってしまいました。
  川端道喜によると、10月の亥の子餅は丸餅、霜月玄猪は小さく碁石ほどの赤、白、黒の三色餅だとのことです。ただし、庶民にはこんなしきたりは関係なく、猪の色に似せたあんころ餅を亥の子餅として、季節菓子で食べられています。
  また、鳥の子餅は白赤に餅をつきあげ卵形に整え、白赤2個を箱に詰めたもので、明治以降は猪の子餅が庶民のあいだで変形普及した物だそうです。


◆12月
12月は師走とはいいながら美味しいお菓子が多く作られます。鶴屋吉信の季節菓子だけでもやぶこうじ、風花、冬木立、ときわぎ、初雪など12月の菓子が並びます。12月13日は事始めの式で毎年テレビで報道されるように、習い事の師匠のところへ鏡餅を持参し一年の例を述べると共に指導の更に新たなるお願いをします。お菓子屋さん、餅屋さんは年末には貸餅が忙しく、押し詰まると正月用の上生の手造りに追われます。除夜の鐘を聞いてやっと掃除、片付けが終わり、初詣に祇園さんに出かけ、おけろ火を受けて雑煮の火を持ち帰り男の仕事が終わります。

●やぶこうじ…緑色と白のこなしを張り合わせて三角に切り、三方から小倉餡を包み込んで中央にこなしの赤い実をつけ、雪中の姿を表象したものです。
●風花…白い饅頭で頂に雪片が焼印してある。それが清々しく、風花に通ってきます。
●冬椿…紅色のこなしで餡を包み、形を整え、中央のしべには黄色に染めたみじん粉をつけます。
●ときわぎ…一年を通じて緑を絶やすことのない松のめでたさを菓子に表したもの。緑色に染めた村雨と小倉羊羹を流し合わせたものです。
●初雪…こしあんを餅で包んだ、しっとりして上品な味わいです。